
芋棒(いもぼう)とは、海老芋と棒鱈を炊き合わせた京の名物料理。普通、煮え方が異なるものは一緒に炊かないものですが、煮くずれしやすい海老芋と棒鱈を一緒に炊くのが私(「文福」主)のやり方。棒鱈のにかわ質が海老芋の煮くずれを防ぎ、海老芋のアクが棒鱈を柔らかくする。 カツオと昆布のだしで一昼夜かけてじっくりと炊き上げる。調味料は砂糖と醤油だけ。一つの鍋で助け合ってうま味を生み出すので、夫婦(めおと)炊きともいう。
A:棒鱈(もどしたもの)300g、海老芋
300g、針柚子
B:だし 500 cc、上白 45g、濃口 45cc
1.棒鱈は食べやすい大きさに切り、た
っぷりの湯で約2時間茹でる。
2.海老芋は皮をむいて水から茹でる。
沸いたら中火弱にして8分茹でる。
表面をぬるま湯できれいに洗う。
3.鍋に棒鱈と海老芋をぎっしりと詰め
Bを加えて火にかけ、沸いたら弱火
にして一昼夜かけてじっくりと炊き
上げる。途中、別に合わせたBを足
しながら炊き上げる。
※上質の棒鱈から出る脂は玉虫色に輝
き、艶良く炊き上がった海老芋は、箸
がすっと通るのに見事なほど形が整っ
たまま。口に入れると海老芋はとろけ
る口当たりで、ホロリとくずれる棒鱈
はだしのうま味を含んでいながらさっ
ぱりとした味わい。
4.器に棒鱈と海老芋を形よく盛りつ
け、天に針柚子をのせて供す。
【棒鱈のもどし方】
1.容器に入る大きさに切り、もどす前
に表面の汚れを水洗いして取る。
2.米のとぎ汁をたっぷりと入れて漬け
る。とぎ汁には臭みを取り、柔らか
くする効果がある。
3.一日漬けたら新しいとぎ汁に替え、
7~10日かけて柔らかくもどす。
4.もどった棒鱈をざるに取り、流水で
よく洗い、再度ざるに取り熱湯を回
しかける。水気を切り料理にする。
ここで皮は取っても良いし、取らな
くてもよい。